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被災地支援センター

能登半島地震に関する情報交換会

日時 2024年2月21日(水)午後2時~4時10分
場所 石川県社会福祉会館 4階大ホール(一部関係者へのZoom配信あり)

1.開会
  挨拶 阿部一彦 日本障害フォーラム代表
     田中弘幸 石川県身体障害者団体連合会会長
     塗茂智久 石川県健康福祉部障害保健福祉課課長補佐
  参加者紹介(着席順、名前と所属のみ自己紹介)

2.情報交換
(1)令和6年能登半島地震による各団体の被害状況や対応
(2)各団体の困り事や今後必要な支援の内容

3.今後の方向性について

参加団体 文末の一覧参照

情報交換会の模様

■概要報告(文責 日本障害フォーラム事務局)

1.開会

日本障害フォーラム代表
 JDFは13団体で構成され、東日本大震災や熊本地震でも地域団体とこのような情報交換を行いながら支援を行った。能登半島地震においても今後も連携しながら活動をしていきたい。

石川県身体障害者団体連合会会長
 能登半島地震では甚大な被害があった。復興には長い時間がかかる。本日は遠方より来県いただき情報交換会の開催に感謝したい。今後の支援に役立つ機会となることを望む。

石川県健康福祉部障害保健福祉課
 県、市町で全力で取り組みたい。障害者の現状やニーズを把握できるよう、本日は情報や意見をお聞かせいただき支援に活かしたい。

2.情報交換

石川県身体障害者団体連合会より
 県内で予定されていた身障福祉大会の全国大会が中止となった。
 発災直後は何から手を付けていいのか分からなかった。安否確認だけでも大変である。
 避難生活が続き元の土地に戻れない人もいる。地域支部組織の存続も危ぶまれる。
 生活再建支援金の額は避難者が帰郷し住宅を再建するには不十分ではないか。
 避難所では車椅子避難者のためのリラックスできるスペースが必要だ。断水の早期解消を望む。

石川県視覚障害者協会より
 県協会は比較的被害が軽微であった金沢市内にあり、安否確認と情報収集を行っている。会員やサービス利用者の情報を随時更新しながら支援している。県や自治体への協力を行っているが、被災地域に入っての活動は行えていない。現在は金沢・加賀地域の1.5次、2次避難所への支援や、避難先で福祉サービスを利用できるよう支援している。被災地である能登地域に戻りたいという人が多く、そのニーズに応えられる復興支援が必要だ。
 発災直後は飲食や断水に関わるニーズが多かったが、今は視覚障害者に必要な物品の希望や経済的不安といったニーズに変わってきている。

石川県聴覚障害者協会より
 発災直後に県内会員の安否確認を3日間かけて行った。
 能登地域の安否確認ができなかったが、1月2日にプラスヴォイス社が支援に入り、輪島珠洲の会員の安否が確認できた。
 耳が聞こえず情報が入手できない。手話通訳者も被災して支援が受けられない。3日間通訳を続けて体調を崩した人もいる。インターネット環境が行き届かず遠隔手話も難しい。
 能登町のB型事業所のやなぎだハウスは事業が継続できていない。
 4市町にいた人11名は孤立していたが、同じ1.5次避難所に避難して、そこで初めて手話で会話できた。白山市の2次避難所には手話通訳者もいる。あさがおハウスで作業も行っている。
 今後の課題は3点ある。
・被災者支援に関しては、奥能登では自営業をする人が多く、生活再建支援金だけでは生活再建には不十分で、どのように支援できるか悩ましい。
・手帳所持者のうち安否確認できた人は一部であり、聞こえない仲間はどうなっているのか。安否確認にあたっている相談支援専門員は手話ができずろう者/聴覚障害者の特性を理解した聴き取りは難しいのではないか。
・一部の避難所にろう者が集団で避難しコミュニティを作れているのは有効だ。奥能登には聞こえない人が集まれる福祉避難所がないので設置してほしい。仮設住宅でも同様の形が取れないか。仮設住宅については複数の地域の方が1つの仮設住宅に入れるよう要望を出しているが自治体間の縦割りがあり難しい状況だ。

石川県手をつなぐ育成会より
 能登地域の会員、事業所を訪問し確認した。避難生活に疲れ、壊れた家に戻り修理しながら生活する人も多い。交通事情は悪いが支援物資は届いている。事業所も再開し始めているが定員の半数程度しか集まらない。家族が生活再建に集中できるよう、障害のある子どもが日中活動できる場があるとよい。事業所再開にかかる課題が3点ある。
・建物や敷地の損壊・液状化の課題。
・家族ごと遠方に避難し利用者が定員割れし、十分な報酬が得られない。
・職員も被災・避難し人材が不足。退職希望も出ている。片付けや安否確認をしても報酬につながらない。事業継続が難しい。
 今後の事業所は、地震や津波に耐えうるもの、また福祉避難所としての機能を持たせるのならそれに見合った体制を組めるようにした復興が必要だ。東日本大震災のときと同様、施設再建のための国庫補助等による支援が重要だ。
 被災地に支援に入りたいが、宿泊先などの問題がありできずに心苦しい。

石川県精神保健福祉家族会連合会より
 奥能登地域に支部があるが、会員の状況が十分に分かっていない。安否確認等には全国組織の支援も得ながら取り組んでいる。県内では募金活動もまもなく開始する。県からの情報や協力も得たい。

石川盲ろう者友の会より
 在宅中に被災し、携帯電話(の警報)が振動し、恐怖を感じた。翌日に通訳介助者が来て自分の安否確認がされた。県内の会員の安否確認も行ったが、会員でない盲ろう者のことは分からない。盲ろう者は避難支援のためにいきなり手を引かれても恐怖を感じるだけだ。コロナ禍以降は地域の人とのつながりも少なくなった。地域の人とのつながり、盲ろう者への適切な支援の周知が必要だ。自分たちは忘れられているのではないかと不安になる。安否の分からない盲ろう者の支援のために共に活動したい。

きょうされん石川支部より
 県内事業所で多くが建物被害を受け、特に輪島と珠洲の状況が厳しいが、幸い一部損壊ですんだ。2月から再開したB型事業所があるが活動は半日で終えている状況だ。和倉温泉からの仕事も受けていたが、温泉地全体が被災し仕事がなくなった。
 利用者の半数が金沢市や県外に避難し、職員も避難している。避難先での状況がつかめない人もいる。福祉避難所も機能せず、周りに迷惑をかけるからと家に戻ったり車中泊する人もいる。障害者に対応した仮設トイレもあまりない。

ゆめ風ネット加賀より
 発災後能登地域の事業所に電話し、必要な物資を届けた。初期は水やドライシャンプーの要望が多く、その後は日用品の要望が増えた。2月に入り道路事情が改善し支援物資が入るようになって、物資支援は休止した。その後も能登地域の事業所に電話をかけて様子を聞いたが、つながらないところもある。施設損壊のニーズはゆめ風基金につなげている。人的支援については現在は断水が続き宿泊場所の問題があるが、いずれは行いたい。

石川バリアフリーツアーセンターより
 6日から被災地行政と連携し、能登地域の117か所の事業所に連絡して必要物資の聞き取りを直接行った。(連絡の取れた91施設中62施設から支援の要望があった) 10日から「届け.jp」での緊急支援を開始し、3Tトラックで物資配送を行った。2月に入ると物資配送は終了し、物資のニーズはAARにつないでいる。今後は人的支援が求められるが、ニーズの長期化に向けて宿泊場所の確保が求められる。必要な情報を共有しどう連携するか、ネットワークが重要だ。

AAR Japan(難民を助ける会)より
 1月2日から被災地に入り、きょうされん、バリアフリーツアーセンター、ゆめ風基金と情報共有している。事業所、福祉避難所、その他外国人コミュニティや自主避難所への物資や炊き出しなどの支援を行っている。事業所の備品修繕のハード面のニーズ調査もしている。今後は自宅が被災した在宅被災者への支援で連携ができないかと考えている。

日本視覚障害者団体連合/日本盲人福祉委員会より
 日視連としては全国の支部から義援金募集を行っている。被災地支援に関しては、日盲委として富山の氷見から支援に入り、視覚障害者の名簿を行政から開示され訪問した。石川では名簿がいただけず避難所を総当たりしている。主に被災地域での物資、情報、避難所内での対応などを支援している。主に金沢・加賀で活動する石川県協会と活動を分担している。手帳所持者のうち安否が分からない方も多く、今回もその方々への支援をしていきたい。
 2次避難所や仮設住宅に移ったあとの移動支援の課題がある。点字ブロックの敷設なども必要だ。視覚障害者のことが分かる人が入って対応する必要がある。また支援金などの情報も紙媒体が多く、アクセシブルにする必要がある。

全日本難聴者・中途失聴者団体連合会より
 県内に協会がなく、難聴者の状況が入ってこない。石川県聴覚障害者センターと連絡を取り対応を行った。補聴器や人工内耳の電池が心配であり、関連メーカーと連携して対応している。避難所でも文字や絵を用いた情報提供が必要だ。テレビに字幕が付かなかった例が今回もあった。障害者団体に入っていない人への支援が課題だ。

その他の意見
 個人情報開示の課題は今回も感じている。国の被災高齢者等把握事業で個別訪問による安否確認は行われつつあるが、視聴覚障害者、盲ろう者、難病など個々のニーズにどのように対応できるか、また確認できたニーズをどのように支援につなげられるかが課題であり、この点は民間団体とも広く連携してほしい。

3.今後の方向性について
 JDFからは今後の方向性として次の発言を行った。
・今後ともこのような情報交換・意見交換の場を開催し、幅広い連携を作って活動したい。
・全国的な連携組織として、国や県に提言や要望を継続的に行っていきたい。
・各団体ではすでに取り組みを行っているが、これらと連携し、民間団体としてできることを重層的に行っていきたい。
 近日中に七尾市を想定して支援拠点を設け、ここに全国から支援スタッフを送って支援したい。支援にあたっても関係団体と連携したい。

以上

参加団体(順不同

<石川県内の団体>
石川県身体障害者団体連合会
石川県視覚障害者協会
石川県聴覚障害者協会
石川県聴覚障害者災害救援対策本部
石川県肢体障害者福祉協会
石川県脊髄損傷者協会
石川県手をつなぐ育成会
石川県精神保健福祉家族会連合会
石川盲ろう者友の会
きょうされん石川支部
ゆめ風ネット加賀(ひまわり教室)
石川バリアフリーツアーセンター
地域支援センターポレポレ

<JDFならびに関係団体>
日本身体障害者団体連合会
仙台市障害者福祉協会
日本視覚障害者団体連合会
日本盲人福祉委員会災害対策支援本部
全日本ろうあ連盟
北信越ろうあ連盟
日本障害者協議会
全国手をつなぐ育成会連合会
全国精神保健福祉会連合会
全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
日本障害者リハビリテーション協会
全国要約筆記問題研究会
AAR Japan〔難民を助ける会〕
 


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