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被災地支援センター

JDFみやぎ支援センター仮設住宅訪問の概略

2013年12月

1.支援内容

 未曾有の大震災によって、障害を抱える方々の死亡率が一般の2倍以上になったことは報道の通りである。なぜ障害を抱える方々の死亡率がこんなに高くなったのか、どうしたら防ぐことができたのか関心の高いところである。二度と同じ状況に陥らないためにどうしたらいいか今後検証していく必要がある。そのために我々ができることは何か。そこで、仮設住宅で生活している障害者からどのように助かったのかをヒアリングし今後起こりうる大地震に備えた対策に少しでもお役に立てるよう考えていきたい。また、仮設を訪問する中で未だに困った生活を強いられている障害者は少なくない。例えば、仮設住宅が建った当時に手すりの設置について必要ないと市町に伝えたが生活していく中で必要性を感じてきた。時間が経ってから設置をお願いしたが自分で設置して欲しいと言われた。インターフォンが鳴っても身体に障害があるために玄関先まで行くのに時間がかかり来客者が帰ってしまった。他にもあるが、これらの困りごとに対してできる範囲内で物資の提供という形で支援をしてきた。物資の提供以外でも、一人暮らしで孤独な生活が続いていると誰かと話をしたい・繋がっていたいという方々に対し丁寧に耳を傾けることも大切な支援活動になっている。
 以上、今我々が行っている支援内容である。まだ仮設訪問は道半ばで、今後も引き続き障害を抱える方々とお会いし少しでもお役に立てる支援をしていきたい。

 ※主に仮設住宅を訪問しているのは、仮設以外でどこのお宅に障害者が住んでいるかわからないため。問い合わせがあれば、自宅に伺い必要な支援は行う。

2.概略

  • 1)仮設訪問活動期間 平成24年9月~現在に至る
  • 2)仮設訪問先の数(11月30日現在)
    気仙沼市・南三陸町・石巻市・東松島市・塩竈市・七ヶ浜・仙台市・名取市
    岩沼市・亘理町・山元町の仮設住宅100ヶ所
  • 3)仮設訪問頻度 週1回
  • 4)物資支援

  戸別:手すり取り付け・バスマット・杖・光るチャイム・受話器付きのインターフォン・
アーム付座椅子・マットカバー・車椅子・畳・テレビなど

  事業所:パソコン(寄付品)・車両(寄付品)・宣伝用のぼり(他団体との連携)など

3.課題

 市町の協力で、仮設住宅で生活する障害者の数を障害別にデータは頂いている。(一部市町を除く)ただ、何処の仮設に障害者が住んでいるかまでは個人情報の問題から教えて頂くことは難しい。仮設住宅にあるサポートセンターからも障害のある方の生活実態など詳細な情報は得づらく、課題や問題が見えにくい。ただ、事実困った生活を強いられている障害者がいることも事実である。そんな中で、仮設の自治会長に活動の経緯を説明し理解をいただいた上で障害のある方とお会いさせて頂けることが時々ある。また、偶然お会いする中でお話を伺うこともある。辛い経験をしていながらも、快くお話をして頂いた貴重な内容を活動記録としてまとめている。


平成25年JDF宮城訪問活動記録(10月~11月)

訪問日支援&活動場所活動内容課題・特徴 コメント
10月X日 N仮設住宅(石巻市) 手すり取り付け作業終了の確認   手すりに取りつけ状態を確認後、写真を2枚撮る。
S仮設住宅(女川町) 仮設住宅に障害のある方が住んでいるかどうか確認 高齢者で足が多少不自由かなと感じられる方はいるが、障害のある方はいないとのこと。 自治会長は病院に行っていて不在。ほとんどの住民が働いているとのことで不在なところが大半だった。
O仮設住宅(女川町) 自治会長に挨拶した後、障害のある方のお宅に訪問 難聴と脊髄損傷の障害がある。普段の生活で困ることはないが、 風邪をひいたり体調を崩した時に家事をしてくれる人がいればと話す。 あの時のことは思い出したくないと言葉にしながらも私たちの質問に丁寧に答えてくれた。 一人暮らしで、隣に母親の弟が住んでいる。帰り際、また来てねと声を掛けてくれた。
10月X日 A仮設住宅(石巻市) 自治会長に障害ある方が住んでいるかどうか確認   障害のある方はいないとのこと。近くの仮設でやっている食堂のお子さんが障害があると情報を提供してくれる。
O仮設住宅(石巻市) 自治会長不在で、自治会長の妹さんにお話を伺う。   障害のある方はいない。
A仮設住宅(石巻市) 自治会長に障害ある方が住んでいるかどうか確認   障害のある方の情報を得るも、デイサービスに出かけている日で不在。日を改めて、伺う予定。
K仮設住宅(石巻市) 自治会長に障害ある方が住んでいるかどうか確認   同じ敷地に仮設のグループホームがあり、利用者が住んでいるとのこと。サービス事業所に通っていて不在。
K仮設住宅(石巻市) 仮設住宅の住民に障害のある方が住んでいるかどうか確認   障害のある方の情報を得るも不在。日を改めて、伺う予定。
10月X日 A仮設住宅(石巻市) 10月X日に訪問した際に不在だったため、再度訪問 特に困ったことはないとのこと。  
K仮設住宅(石巻市) 再度訪問してみたものの不在    
M仮設住宅(石巻市) 自治会長不在で、住民に障害者がいるかどうか伺う。   障害のある人はいなのではと返答
J仮設住宅(石巻市) 震災によって酸素ボンベを手放せなくなった方のお宅に訪問 1週間前の台風で、玄関前に生い茂っている木が倒れてきた。 そのため排水管が壊れ玄関前が水浸しになるので困っていると話す。 自治会長にはお話していないとのことで、ご挨拶に伺ったが不在。 今まで病気をしたことがなかった80代の男性が、震災時に波に巻き込まれ水を飲み肺の機能障害をもつことになった。 子供たちは離れて生活。奥さんは施設に入所している。単身生活。
O仮設住宅(石巻市) 自治会長不在で、住民に障害者がいるかどうか伺う。   障害のある人はいなのではと返答
M食堂 重度の障害のある息子さんをお持ちのご両親にお話を伺う 息子を送迎する際のシートカバー、マットとマットカバーを以前JDFに支援してもらった。 毎日使用しているため、スペアーのマットカバーがどうしても必要。是非支援して欲しいと依頼を受けた。 寸法を測って、後日連絡いただけるよう伝える。  
11月X日 K仮設住宅(女川町) 自治会長に仮設に住んでいる障害者のことについてお話を伺う   知的障害者が父親と2人で生活。ケアマネージャーが時々訪問に来ているとのこと。運動せず家の中で過ごすことが多い。父親がまだ元気で、ケアマネと繋がっていることから特に心配に思う事はないとのこと。震災時は父親と別にいて、海の方に向かって走っていたが、それを見た方に引っ張られて高台の方に逃げたとのこと。
M仮設住宅(女川町) 仮設の方に区長宅を教えてもらう   区長宅にお話を伺いにいくも、不在。日を改めて伺う旨を伝える。
M仮設住宅(女川町) 障害のある方のお宅を訪問 娘さんが土日に来てサポートをしてくれるので特に不自由なく何とか今は生活している。 障害手帳は持っていない。震災時は、娘さんにお孫さんが生まれたばかりで、たまたまそばにいたので連れられて逃げた。 もし孫がいなかったら助かっていなく、孫に助けられたと今は思っている。
Y仮設住宅(女川町) 区長宅に訪問   障害者はいないとのこと。地区の20数世帯が全て家を失い今の仮設で生活。区長も家を失い仮設での生活。
T仮設住宅(女川町) 自治会長不在   障害者とお会いすることはできなかった。
S仮設住宅(女川町) Kさん宅に訪問。以前JDFの支援を受けた全盲の方のお宅にも挨拶   インタフォーンの電池が切れていたので交換。Kさんの写真を撮る。
11月X日 M食堂(石巻市) 注文があったボックスシーツを届ける   とても喜んでいて、このような支援団体があるのは心強く有り難いと感謝の言葉があった。
K仮設住宅(石巻市) 自治会長に仮設に住んでいる障害者のことについてお話を伺う   障害のある方々は居るそうで、今度集まりがあった際に、 日常で困っていることやどのように助かったのかを聴いて、連絡を私たちに頂く予定。
K仮設住宅(石巻市) 自治会長は不在で、偶然にお会いした仮設住民の方にお話を伺う 知的障害のある子どもが住める場所を確保するためプレハブの家を改造中。 これから寒くなるので、この子どものために畳を10枚ほど頂きたいと依頼を受けた。 以前に畳の支援をしたことがあるので、早急に注文する予定。
I仮設住宅(石巻市) 自治会長は不在だったが、障害のある方のお宅を訪問することができた 障害手帳を震災の時に流され、再交付していない。障害年金は振り込まれていると話す。手続き関係は家族に任せているとのこと。 身体に障害があっても日常生活で困っていることは特にないと話す。震災時は、日頃から家の近くの道路工事をしている方々と挨拶を交わしていたので、その方々に助けられ小学校に逃げたとのこと。
N仮設住宅(石巻市) 自治会長不在で、80代の女性に話を伺う   親戚に障害のある方はいるとのこと。震災時は、息子と一緒にいたが、自分は先に逃げて、家にいた息子は流され亡くなったと話す。
11月X日 S仮設住宅(南三陸町) 自治会長に挨拶後、障害者2人からお話を伺う事ができた。 ①震災時は訪問して声を掛けてくれる方がいたが最近はない。自分たちの事が忘れら手てきているのではという不安を抱いているようだった。②ヘルパー利用について、もう少し柔軟に支援できるような制度にならないものか。 ①このように訪問して頂くことは有り難い。最近被災について忘れられてきているように感じる。
②以前、JDFに支援を頂いて助かった。障害3級でヘルパーを利用しているが、ヘルパーの制度に不満。ただし震災時はヘルパー利用日でヘルパーに助けられた。
M仮設住宅(南三陸町) 自治会長に挨拶後、障害者と思われる人のお宅を教えて頂き訪問する   自治会長は高台に家があったが全壊で今の仮設に住んでいる。津波にやられた訳ではなかったので助かった。高齢で足と耳に障害があるが、障害者手帳は持っていない。
南三陸町自立支援協議会     株木事務局長、引続き自立支援協議会の委員を2年務めることになった。

写真1
仮設住宅入口

写真2
仮設住宅内部

写真3
仮設住宅自治会長との懇談


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