被災地支援センター
JDFいわて支援センター活動報告(2013年6月)
1.事務所移転について
陸前高田市の復興計画事業により、2月28日をもって陸前高田市から無償貸与されていた敷地から事務所を転居した。
センターを取り巻くさまざまな状況から、私有地を借りて再設置することとした。
新住所:〒029-2204 岩手県陸前高田市気仙町字内野35番地7号
電話番号、FAXについては変更はなし。
2.岩手県陸前高田市における障害者訪問調査について
現在、JDFにおいて分析中。分析終了後、報告書の作成を行う。
3.生活支援について
2012年度は全国からの支援員派遣スタッフと現地スタッフ、事務局で下記の支援を行った。
事務局 | スタッフ | 全国からの派遣スタッフ | 計 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
4月 | 1名(+1名) | 1名 | 2名(きょうされん) | 4名 | |
5月 | 1名(+1名) | 1名 | 2名(きょうされん) | 4名 | |
6月 | 2名(+1名) | 1名 | 2名(きょうされん) | 5名 | |
7月 | 2名(+1名) | 2名 | 1名(ゼンコロ) | 5名 | 現地スタッフ採用 |
8月 | 2名(+1名) | 2名 | 1名(ゼンコロ) | 5名 | |
10月 | 2名(+1名) | 1名 | 1名(ゼンコロ) | 4名 | せきずい基金活動終了 |
11月 | 1名(+1名) | 1名 | 1名(ゼンコロ) | 3名 | |
12月 | 1名(+1名) | 1名 | 凍結路面により派遣受入れ中止 | 2名 | |
1月 | 1名(+1名) | 1名 | 2名(きょうされん秋田) | 4名 | スポット応援 |
2月 | 1名(+1名) | 1名 | 凍結路面により派遣受入れ中止 | 2名 | |
3月 | - | 1名 | - | 1名 | 事務所移転 |
2012年度の支援実績は以下の通りであり、4月~3月までの1年間で支援をした総数は1,978件であった。
障害者 | 高齢者 | 児童 | 通院 | 買い物 | その他 | 合計 | 通院 | 買い物 | その他 | 合計 | 通園 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
4月 | 6 | 3 | 9 | 18 | 0 | 0 | 58 | 58 | - |
5月 | 25 | 7 | 37 | 69 | 6 | 0 | 42 | 48 | - |
6月 | 32 | 6 | 35 | 73 | 5 | 0 | 44 | 49 | - |
7月 | 57 | 15 | 39 | 111 | 1 | 0 | 68 | 69 | - |
8月 | 76 | 11 | 34 | 121 | 19 | 0 | 27 | 46 | - |
9月 | 111 | 11 | 51 | 173 | 35 | 2 | 22 | 59 | - |
10月 | 72 | 11 | 55 | 138 | 68 | 1 | 14 | 83 | 4 |
11月 | 64 | 6 | 77 | 147 | 54 | 0 | 2 | 56 | 28 |
12月 | 74 | 11 | 47 | 132 | 51 | 1 | 2 | 54 | 24 |
1月 | 87 | 7 | 27 | 121 | 36 | 0 | 0 | 36 | 21 |
2月 | 90 | 2 | 25 | 117 | 34 | 0 | 0 | 34 | 11 |
3月 | 44 | 0 | 6 | 50 | 28 | 0 | 0 | 28 | 0 |
計 | 738 | 90 | 442 | 1270 | 337 | 4 | 279 | 620 | 88 |
■対象者の内訳
障がいのある方1,270件(65%) ご高齢の方620件(31%) 児童が88件(4%)となっている。
■支援内容の内訳
通院1,075件(54%) 買い物94件(5%) その他809件(41%)となっている。
買い物に関してはニーズは大きいものの、通院を重視した結果少ない対応になった。また、その他の対応の内容であるが、主に通学・通園支援と公的機関への用足し、また現地当事者団体の会合などへの対応となっている。
現在、1日あたり約15件の支援を行っており、内容は下記の通りとなっている。
■通学支援
保育園児から中学生まで4人の児童の通学支援を行っている。これは本人の障がいによるものと、震災以降に親御さんの体調不良により通園が出来ない状態になったことによる支援になる。
保育園:2名4件 | 母親の障がいにより通園が出来ないため、市児童福祉係からの依頼で対応中 |
特別支援学校:1名2件 | 母親の障がいにより通学が出来ないため、市児童福祉係からの依頼で対応中 |
市立中学校:1名1件 | 肢体不自由児の帰宅時の通学手段が無いために、学校と保護者より相談あり対応中 |
陸前高田市内の病院のほか、隣接する大船渡市や気仙沼市の病院への通院支援を行っている。
時間に余裕のあるときに対応中。
「支援対象の方は、震災前の通院等の移動はどうしていたのですか?」と良く聞かれるが、一言で答えることは難しい。「震災によっての居住環境の変化」「仕事を含めた生活環境の変化」「震災による体調の変化」等々、さまざまな要素が複雑に絡み合っているのが現状であり、単純には解決できない問題である。
このような中、岩手県のタクシー料金が18年ぶりに値上げされた。
参考:盛岡タイムス Web News 2013年3月20日(水)
http://www.morioka-times.com/news/2013/1303/20/13032001.htm
■県内のタクシー 18年ぶりの運賃値上げ 初乗り1キロ500~520円 中長距離ではアップ 多くの事業者来月4日から
・・・運賃改定の背景には業界の長年にわたる収益悪化があり、2002年の規制緩和以降の競争激化、輸送人員の大幅な減少、リーマンショック以降の収益悪化、燃料高騰などの要因がある。現行のままでは運転者の人件費や安全コストを十分確保できなくなり、輸送の安全確保の観点からも値上げの必要が生じた。・・・
- このタクシー料金の値上げは、燃料費の高騰などもあり、しかたのないことではあるが、家計にかなりの影響を与えそうである。例えば陸前高田市役所から大船渡病院までの片道のタクシー代(概算)は「5,120円」→「5,750円」と約12%の値上げとなる。
- この間に整備されたBRT(バス・ラピッド・トランジット)や、実証実験を行っているオンデマンド交通、地元のバス会社やタクシー会社等、交通網は1年前に比べれば、だいぶ改善はされてきたが、それでも移動支援が必要な方が減らない状況がある。
- 岩手県の自動車保有数は全国でも上位である。これは公共交通機関の整備状況等から、仕事を含めた日常生活には車が必須であることの現れと言える。そのため、震災以降、体調を崩し運転が出来なくなった方などは、日常生活を送るうえでかなり不便な状況になっていると考えられる。
4.今後の方向性について
- 4月4日に陸前高田市社会福祉課と新年度の活動について協議を行った。 その中で、JDFが行っている生活支援の実績データ(対象者情報、利用目的、事業に伴う経費等)を基に、JDF活動終結後の生活支援事業の在り方を定期協議を行いながら制度設計したいとの再度の申し入れを受けた。この件に関しては、今期の支援員派遣体制等が整う7月以降に、本格的に対応を行う。
- 同障がい福祉計画では、重点施策を大きく四つに分類し、推進するため、ワーキンググループを立ち上げて平成26年3月には成案が得られるよう検討を進めることとなった。
このうち重点施策3「市独自の助成制度・ヘルパー養成制度の創設」のワーキンググループにJDFいわて支援センターが参加し、6月8日に第1回目の会合が行われた。
このワーキンググループの内容については以下の通りである。
【事業目標】
障がいのある人が安定して質、量ともに保証する助成制度・ヘルパー養成システムの構築を目指します。
【事業内容】
平成25年4月に居宅介護制度検討ワーキンググループを立ち上げ、
不足している障害ヘルパーを市の独自制度で補完していく制度のあり方を検討します。
また、障がい者の意思を尊重し、その人の送りたい人生を支援する人材の養成、育成の仕方を検討します。
更に、現在JDFいわて支援センターが行っている移動・介助支援が継続実施できるよう具体的な検討を行います。
- ワーキンググループのメンバーは以下の12名で、半数が当事者、その他が当事者を支える側という構成になっている。
- 相談支援専門員2名
- 障がい当事者6名(知的障がい・精神障がい・身体障害(肢体・視覚・聴覚)・難病)
- 障がい者支援事業所職員2名
- 社協職員(在宅福祉部門)1名
- JDFいわて支援センター1名
- このW.G.は「生活を豊かにするためのW.G.」であると確認され、「このようにあったら生活がしやすい」「こうあったら地域生活を安心して暮らせる」といった当事者の要望を取り上げ、来年度の事業化・予算化に向け9月までの取りまとめを目標としている。外部の人間の方が第3者的に取りまとめをしやすいとの意見からJDFいわて支援センターが座長を仰せつかった。
- このように、市福祉課との直接協議の場と、障がい福祉計画ワーキンググループへの参加、自立支援協議会下の相談支援連絡調整会議への参加と、行政・当事者・事業所との協力関係を構築していることから、JDFいわて支援センターが実施している生活支援事業を、地元移行できる形を作り上げていくことを今年度の目標とし、活動を行っていく考えである。