被災地支援センター
JDFいわて支援センター活動報告 2012年4月~2012年8月
日本障害フォーラム(JDF)は、2011年9月22日に「JDF被災障がい者支援いわて本部」を設置し、2012年4月17日には「JDFいわて支援センター」を陸前高田市に開設しました。
支援センターでは、市の行政、市・県内外の関係団体、諸機関、支援事業所などと連携しながら、次の活動を行っています。
1.障害者等の生活支援
- 移動支援(通院、買い物等含む)、日中・余暇活動支援、同行介助等の直接的な支援活動を行っています。
- 特に緊急性のあるものや、公的支援でカバーしきれないニーズに対応しています
- 障害者手帳の有無に関わらず、幅広い方を対象としています。(子ども、家族、高齢者等を含む)
- 活動の中で明らかになったニーズを、地域の行政、社協、障害者支援事業所等の社会資源につないでいます。
この間、行ってきた実績は次のとおりです。
/ | 障害者 | 高齢者 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
通院 | 買い物 | その他 | 合計 | 通院 | 買い物 | その他 | 合計 | |
4月 | 6 | 3 | 9 | 18 | 0 | 0 | 58 | 58 |
5月 | 25 | 7 | 37 | 69 | 6 | 0 | 42 | 48 |
6月 | 32 | 6 | 35 | 73 | 5 | 0 | 44 | 49 |
7月 | 57 | 15 | 39 | 111 | 1 | 0 | 68 | 69 |
8月 | 76 | 11 | 34 | 121 | 19 | 0 | 27 | 46 |
合計 | 196 | 42 | 154 | 392 | 31 | 0 | 239 | 270 |
4月~8月31日までの支援件数 662件 |
公共交通の復旧がいまだ十分でないため、移動手段に困り通院もままならない方が数多くいます。陸前高田市では、中心地から離れていてもJRの駅まで移動できれば通院が可能でしたが、それもなくなり、通院の大半を占める県立大船渡病院へは、タクシーを使えば1度の通院で往復1万円から1万5千円ほどかかり、とても年金生活者が支払える金額ではありません。
そのため、本人や家族はもとより、近隣の住人や、居宅介護事業所からも多くの支援要請が入ります。
しかしながら、センターのスタッフや車両の対応能力には限界があるため、交通費が払えない方や家族などの支援が受けられない方など、緊急性の高い場合に優先的に支援を行っています。
また地域のケアマネージャー等を通じての依頼もありますが、この場合、介護保険を申請中であったり、要支援でヘルパーが使えない方、生活保護世帯や非課税世帯の方への支援を原則としています。
ただし、相談時にその方の置かれた環境が見えない場合も多く、その場合の支援要請はSOSであると考え、いったんお受けすることにしています。そして、初回訪問時に状況を確認し必要な支援につなげることができる場合は、関係機関につなぐことにしています。
2.訪問調査
陸前高田市では、障害者の状況について、2011年7月に保健師の全戸訪問による確認や、2012年1月に障害者手帳所持者の安否確認などを行っています。しかし、所在を含めた現況はなお不明であり、その生活状況と、今後の災害時要援護者への登録希望などを含めた状況把握が求められています。市とJDFが懇談を行う中で、このことを目的とした訪問調査の要請が市から寄せられ、今回の調査を実施することとなりました。
(1)目的
被災から1年余が経過した時点での障害者等の実態を把握し、訪問調査の中で把握したニーズを行政や関係機関と共有しながら対応し解決していきます。目的は、第一に、緊急のニーズ把握を行う、第二に今後の復興を含めた障害者行政の基礎資料とする、第三に今後の障害者の防災計画作成の基礎資料とすることです。
(2)調査主体 日本障害フォーラム(JDF)
※実施にあたっては、陸前高田市、いわて障がい福祉復興支援センター(気仙圏域センター)等と連携・協力を行っています。
(3)調査期間 2012年7月~10月(先行調査・準備期間を除く)
※必要に応じた追跡調査等も行っていきます。
(4)調査対象 陸前高田市の障害者手帳所持者と自立支援医療利用者 1,357名
※調査にあたっては、守秘義務を前提としています。
(5)調査方法 個別訪問による対面調査
(6)主な調査項目について
調査の視点は、大きく分けて、①震災以降の避難の状況、②現在の生活状況とニーズ、③災害発生時の今後の対応、の3点となっています。
全国から派遣されたJDF関係者(調査員)、いわて支援センタースタッフ、いわて障がい福祉復興支援センター(気仙圏域センター)からの協力者で調査チームを編成し、原則として1チーム2名で訪問調査を行っています。1クール1週間の交代制で行っており、8月末までに、7クール45名の調査員(先行調査・準備期間を除く)により、700名以上の調査を行い、進捗率は60%ほどとなっています。
3.今後の展望 - 地域に残る資源づくり
支援センターの活動の目的は、いまなお緊急に必要とされる被災障害者等の支援を行うとともに、支援活動を通じて、地域の障害者団体、支援事業所、関係機関等と連携を行うことで、今後の長期にわたる復興に向け、障害者を支援する社会資源が地域でより豊かに根づくよう貢献することにあります。
最終的には「支援センター」としての活動が終息したあとにも、これらの連携を通じて構築したネットワークや、サービス、人材等の資源が、地域の方に使いやすい形で残せるような活動を行っていきたいと考えています。
JDFいわて支援センターの活動は、県内外の関係団体・諸機関や、助成をいただいた中央共同募金会(ボラサポ)をはじめ、多くの皆様のご支援、ご協力により行われています。この場を借りて改めてお礼申しあげます。