東日本(東北関東)大震災被災障害者を支援する為の情報を掲載。

JDF東日本大震災被災被害者総合支援本部

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被災地支援センター

2 調査の方法

○調査の対象者と件数
  65歳未満の身体障害者手帳と65歳未満の療育手帳の所持者   手帳をもたない本人・家族から申し出があった障害のある人 ・65歳以上の障害のある人や精神障害のある人は、南相馬市が行なう。 ・警戒地域となった「小高地区」は、調査活動から除いた。

 【対象者】
   第1次調査 4月30日から5月6日までの  計7日間
65歳未満の身体障害者手帳1,2,3級の人
65歳未満の療育手帳Aの人
   第2次調査 5月23日から6月10日までの  計19日間
65歳未満の身体障害者手帳4,5,6級の人
65歳未満の療育手帳Bの人
   追跡調査  6月12日から現在にいたる期間
第1調査、第2次調査で不在だった人
   対象数   1,139名(うち療育手帳390名)
手帳を持っているすべての障害のある人を対象とすることを基本原則とした。

○調査の方法
  2人1組で直接、家に訪問し、対面方式で直接聞き取る。
本人からの聞き取りが困難であったり、本人不在で、家族がいた場合は、家族から聞き取る。
調査項目は、調査用紙に基づき進める。その具体的内容は
○氏名、年齢、住所、家族状況、手帳内容、所在、面談者
○避難状況(避難中、転居、避難経験あり、避難せず)
○緊急避難の場合の支援や条件、避難所での配慮
○現況(本人の状態、震災前と震災後の変化と課題、受けていたサービスの変化と課題)、
 ニーズ、困っていること。必要な支援内容、その他
  に分け、最終的には、緊急避難時の支援や避難先の支援の必要性、さらに現在の生活緊急支援の必要性の判断に繋げてきた。
  一方で、調査活動を後方で支えていく活動として、
データ入力・資料整理係…調査データの入力・調査関連資料の整理
訪問先の地図落し…訪問先までの行き方を地図におとしていく
責任者…調査全体の統括、現場支援の統括
を配置し、調査活動をすすめた。

調査活動は、次の様な流れで実施した。

8時00分 その日の調査活動の打合せとチームごとの準備
※ チーム編成の確認、チームごとの訪問予定者の確認、
  訪問先の確認、諸データの整理
9時15分 出発
9時30分 訪問開始・データ入力と整理
12時00分 昼食・休憩
13時00分 訪問開始
15時00分 訪問終了
※ 長引いても午後4時を目途とする
15時30分 訪問記録整理
※ 個別訪問ごとの記録の整理、訪問チーム記録の整理
※ 個別対応の検討が必要なケースの整理 など
16時30分 検討会
※ 責任者、調査員、バックアップ要員、ぴーなっつ所長、相談員で構成
※ 調査チームごとのその日の訪問概要、検討が必要なケースの報告を受けての問題整理と対応方針の確認。調査時での課題や留意点の確認。調査全体の状況の簡単な分析と確認。翌日の調査に引き継ぐべきことの確認など。
18時00分 検討会終了、資料整理
調査活動は、1日のサイクルを固定化させ、その日の調査の準備-実施-記録・総括・対応-翌日の調査の確認というスタイルできちんと積み重ねられていける形を作っていった。

○調査の配慮と留意点
 この調査は、いくつかの特徴を持っていた。

  • 震災から1ヶ月以上たち、いまだ気持ちの整理がつかないなか、原発事故が重なり、今後の方向性が全く見出しずらい状況下にあり、障害当事者やその家族の抱える悩みやニーズも複雑で時間と共に変化していたことの配慮が必要であったこと。
  • 調査対象となる人は、幅広い年齢と障害の内容もあり、さらに個々人の状況の違いもあり、個別性をきちんと把握することが必要であったこと。
  • 家族環境・地域環境や社会資源、それまでの福祉制度の状況なども絡んだ中での生活の困難さがあり、環境面の把握が必要であったこと。
  • 調査員は、県外からの人間であり、いわゆる部外者的位置にあり、調査活動自体が周知徹底できていないなかでの調査訪問ということから最初のアプローチに特段の配慮が必要であったこと。
  • 震災や原発事故後、初めて被災体験・避難体験を第三者に話す人が多く、気持ちの様々な揺れや様々な感情が表出されることもあり、その受け止めには十分な配慮が必要であったこと。

などの特別の配慮が必要となった。

調査員は、全国各地で障害のある人自身に日々関わっている現場職員であり、一定経験がある人が中心となるようにチームを組んだ。また、調査員は、日々様々な困難を抱えている家族への支援活動や現場で相談活動も十分経験している人たちであった。その経験と知識がベースに今回の調査活動の目的と内容、さらに上記の様な留意すべきことをしっかりと確認して調査活動を行なった。

○調査員と活動実績
第一次、第二次、追跡調査(継続中)を通じて、チーム数としては、延べ147チーム、調査員延べ306人、バックアップ員延べ69人、責任者延べ96名、合計延べ618名の人員で調査活動を実施した。

【調査活動における調査員の活動実績】

  チーム数 調査員 バックアップ 責任者 合計
第一次調査 41 90 29 13 173
第二次調査 61 125 27 33 246
追跡調査 45 91 13 50 199
合計 147 306 69 96 618

 調査員は、全国の障害関係の事業所・施設で働く職員が協力した。
【都道府県別の調査員(実人員)】

都道府県 派遣人数 都道府県 派遣人数 都道府県 派遣人数
神奈川 28 京都 20 福岡 10
福井 5 和歌山 6 熊本 5
奈良 1 兵庫 22 鹿児島 4

 支援員は、20代から60代の職員が参加し、20・30代と40・50・60代がほぼ同じ比率となり、チームとしては、経験豊かな職員と若い職員が組むという形をとった。

支援員年代別一覧のグラフ、20代-12%、30代-36%、40代-23%、50代-21%、60代-8%

 一方で、障害のある人が南相馬に避難先から戻ってくる状況は4月以降も続き、その中で調査活動を通じ、日中支援の場へのニーズが広がった。どこも行かずに長く在宅生活が困難になるという切羽詰まった状況下、閉鎖された日中事業再開への現場支援も同時に進めてきた。

  第1次調査から第2次調査が始まるまでの期間(4月30日から5月22日まで) 
    2事業所に対し、延べ33人の支援員の派遣
  第2次調査から追跡調査が始まるまでの期間(5月23日から6月19日まで)
    2事業所に対し、延べ40人の支援員の派遣
  追跡調査の期間(6月20日から8月10日まで)
    4事業所に対し、延べ231名の支援員の派遣
  この間の現場派遣総数 延べ304人

  南相馬市での調査活動、並びにそこから繋がっていった事業所再開支援活動にあわせて、この間延べ922名の調査員・支援員を派遣した。


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